①成年後見制度
認知症等により判断能力が衰えてしまった際にその方の権利を守る制度です。認知症だけでなく知的障害・精神障害など、ひとりで決めることに不安や心配のある人がいろいろな契約や手続をする際にお手伝します。また、消費者被害、施設入所や入院手続、預金や財産の保全等様々なトラブルを未然に防止することができます。大きく分けて、法定後見制度と任意後見制度があります。
②遺言
ご自身が遺した財産の分割方法を自らの意思で決めることができます。また、遺言を残しておく事により 遺産分割協議が不要になるなど、円滑な相続手続も期待できます。
遺言の種類・・・代表的な自筆証書遺言と公正証書遺言についてご案内します。
自筆証書遺言
[特徴]自筆(財産目録等を除く)、署名・捺印、日付が有効要件
[メリット]
1.費用がかからない 2.いつでも作成または書き直しができる
[デメリット]
1.紛失防止等の管理 2.秘匿や改ざんの危険 3.要件が欠けると無効
⇒このようなリスクを回避するために、法務局による「自筆証書遺言書保管制度」が新設されました。
>>詳しくは、法務省HPをご覧ください
公正証書遺言
[特徴]名称のとおり公正証書で作成します
[メリット]
1.原本を公証役場で保管 2.書式に悩んだり無効になる心配がない
[デメリット]
1.作成費用や時間がかかる 2.証人が必要
〔遺言作成のお勧め〕
遺言は、ご遺族に故人の遺志を伝えるために最も有効な手段です。「遺産は故人および先祖代々が築きあげてきた財産である」と改めて認識される事により、ご遺族の迷いや無用な争いを回避することができます。遺産分割の話し合いをすることは、たとえ円満なご家族であっても相応の負担がかかります。そのためにも、遺言の作成をお勧めします。加えて、財産のことだけではなく、ご家族に向けたメッセージ(付言事項)を書いておきましょう。故人の遺志がより伝わり、残されたご家族の絆がより深まることに大きく貢献します。
③死後事務委任契約
自分が亡くなったあとの身辺の様々な事務処理を生前に契約しておきます。葬儀をはじめ死後の諸手続を速やかに且つ希望どおりに行えます。
[メリット]
親族や友人等が、死後事務に対する不安や負担がないので、関わりやすくなります。
病院・施設やアパート側も、死亡後の対応に安心感が増すため、受け入れやすくなります。
任意後見契約や財産管理委任契約を併用すると、長期に亘る安心感を得られます。
[デメリット]
親族の中に契約内容に反対する方がいる場合、(死亡後)契約内容どおり実現されない場合があります。
特に葬儀等の祭祀に関することは注意が必要です。
[遺言との違い]
遺言は自らの単独行為で作成することにより成立します。また、法的効力が認められるのは、遺産の分配に関する事項をはじめ、法定遺言事項に限られます。これに対し、死後事務委任契約は信頼できる誰かと契約を締結することにより成立します。遺産そのものは相続人に承継されるので、契約内容については、諸手続や事務処理的なことに限られます。
[具体的な活用例]
1)親族や関係者への連絡
2)葬儀・納骨
3)病院・施設や各種未払金の精算
4)アパートの家賃清算、明渡
5)公共料金等、各種契約の死亡届及び解約・・・など
④その他の制度
家族信託(民事信託)
自分の財産だけども、管理は子供に任せたい。自分が亡き後の財産について、承継させたい家族がいるが管理は別の家族にしたい等、多様な形での財産の管理、運用、処分に対応できます。ご自身の将来の財産の在り方を考える上で、近年、遺言や生前贈与または任意後見契約と並び有力な選択肢の一つとして注目されています。
[信託とは]
簡単に言えば、ご自身(委託者)の財産を誰かに託す契約です。この託す契約の相手方(受託者)にご親族が就任する場合が家族信託になります。
受託者は、契約内容に従い財産を管理運用することから、委託者が亡くなったあとも委託者の意思を反映させた財産管理ができることが大きな特徴です。
[効果的な適用場面]
・円滑な相続
・数次に亘る財産の承継
・親が亡くなった後、子供に相続させたいが、その管理運用は信頼できる他の親族に
・高齢になってきたので、財産の管理運用は、そろそろ子供に任せたい・・・など
・見守り契約・・・定期的な訪問や電話連絡を通して、お客様の近況や心身状態を把握すると共に、環境の変化にも迅速に対応します。
[効果的な利用方法]
任意後見契約や遺言、死後事務委任契約等、将来的に効力が生じる契約とセットで契約することにより実効性が担保されます。
遺産整理・・・不動産の相続登記以外にも、預金の払戻手続、株式その他有価証券の移管・換価手続をお手伝いします。
[効果的な利用場面]
・手続案内を取り寄せたが、内容が難しい。必要書類をそろえるのが大変。
・手続の窓口となる金融機関が遠方にしかない。
・銀行や証券会社が多数ある。
・ハンコが必要な相続人が多数いる。